ドクターコラム

2023.12.08更新

今回から数回、月経困難症についてお話しようと思います。

いわゆる生理痛のことですが、生理は本来はそれほど痛みを伴うものではないため、生理のたびに強い痛みなどの症状が現れ、生活に支障が出る場合、月経困難症と考えられます。生理痛は我慢するものと考えている方があまりに多いのですが、月経困難症を治療せず我慢していると、そもそも生理痛を生じる原因となる子宮、卵巣その他の病変を見逃してしまう事にもなりかねません。市販の鎮痛薬を使用していても毎月症状がある場合は早めに受診するようにして頂き、診断をつけることが大変重要になります。
月経困難症には、機能性月経困難症と、器質性月経困難症の2つのタイプがあります。
機能性月経困難症は、子宮、卵巣には外見上何ら病変、問題が見つからない場合です。この場合、月経時子宮を収縮させるホルモンが出ますが、そのホルモンにより子宮などが過剰に収縮することで痛みが強く出てしまったり、あるいは子宮の出口が狭いことで経血が出にくかったりして症状が出ます。収縮が原因であることが多いですから、痛みは月経1、2日目が強いです。若い方に多く、大抵は20代前半でおさまります。子宮、卵巣はお腹の中の臓器ですから、子宮・卵巣に外見上問題無いかは超音波等の画像診断によります。痛みが強い場合は、NSAIDsなどの鎮痛薬を用いてやわらげますが、必要に応じて漢方薬、子宮収縮抑制薬、ホルモン療法や精神安定剤を使用することになります。
子宮や卵巣に病変がある場合を器質性月経困難症といいます。病変は子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜症などです。これらは機能性月経困難症のように時が経てば自然治癒するということはありません。これらの病変は超音波等で確認することが大切です。後述しますが、これらは進行しますから原因に合った治療が必要になります。痛みも機能性月経困難症と違い、持続性で、月経期間中に痛みがずっとある、あるいは排卵時など月経期以外にも痛みが見られることがあります。
いずれにしましても、まずは診断をつけることが大切です。市販の鎮痛剤が効かなくなった、あるいは効きが悪くなったら必ず受診して下さい。

次回からは、子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜症など器質性月経困難症の原因となる疾患について順を追って触れていきたいと思います。
本格的な冬到来。生理痛もしんどくなる時期です。ご自愛ください。

根本産婦人科医院 院長 根本 将之

投稿者: 医療法人社団凌雲会

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