ドクターコラム

2023.08.25更新

前回、多くの女性が月経前症候群(PMS:PreMenstrual Syndrome)を経験しているにも関わらずほとんどの方が我慢している、そして女性の社会活躍のうえでもPMSは多くの弊害があるというお話をしました。
このPMS、最近では様々認識されるようになったようで、患者さんに分かりやすいように作られたパンフレットもいろいろありますし、大塚製薬のサイト(PMS(月経前症候群)ラボ (otsuka.co.jp))にもチェックシート的なものがありましたので参考にしてみるのもいいかもしれませんね。
原因ですが、説はさまざまありますがまだ分かっていません。ただ多くの患者さんが誤解されておられますが、ホルモンバランスの乱れが原因ではないことは分かっています。PMSの方と非PMSの方の女性ホルモンの動態を調べた研究で、両者には全く差がないことが示されています。多くの方が「ホルモンバランスを整えたい」といらっしゃいますが、PMSの原因はホルモンバランスの乱れではないのです。また同じ方でも、無排卵周期の時は症状がないことも分かっています。ですから、今、分かっていることを、誤解を恐れずに一言で言えば、「ホルモンが正常で、きちんと排卵している方に誰でも起こる症状」と言うことが出来ます。ですから、排卵を抑えてあげれば何とかなるわけで多くの方にピルで楽になっていただいています。
ただピルには抵抗が・・・、という方も多いので、ピルをはじめ、漢方、サプリ等々、他の選択肢も様々です。

次回は具体的な治療法についてお話しましょう。

根本産婦人科医院 院長 根本 将之

投稿者: 医療法人社団凌雲会

2023.08.11更新

前回、女性の「隠れ我慢」についてお話させて頂きました。今回はその中で触れた月経前症候群(PMS:PreMenstrual Syndrome)についてです。
PMSは、「月経前3~10日の間に続く心理的、身体的症状で、月経とともに減退、消失するものが、過去の生理で3回以上連続して起こっている場合」と定義されます。心理的な症状は、うつっぽい、怒りやすい、イライラ、不安、混乱した気分などです。身体的な症状は、体重増加、手足のむくみ、乳房・おなかの張り、頭痛・筋肉痛などです。これらの症状のうちどれか一つでもあれば月経前症候群と診断されます。ですから例えば「そう言えばここ半年くらい、生理が始まるとスッキリするが、生理前は1週間くらいむくんだり、お腹が痛かったり、気分が落ち込む」方はPMSです。
女性の95%は月経前に何らかの症状を経験しており、その66%がPMSであることが分かっています。そしてなんと63%もの方々が何も対処していないことが分かりました。くしくも前回の「隠れ我慢」と同じ結果になります。おそらく、生理前の不調は当たり前と思い込んでいる人が多く、受診せず我慢しているのでしょう。女性の皆さんは頑張り過ぎです。
女性の社会活躍、働くうえでも月経前の症状は様々な弊害になっています。PMS症状により退職を考えたことがある人が58%、55%の方が昇進の辞退を考えたそうです。また学業・競技にも支障を来しているデータも出ています。
このように、多くの女性が経験し、女性の活躍を阻害しているにも関わらず、多くのPMSは治療されていないというのが実態です。受診して治療を行えば改善するのですから、我々産婦人科医がきちんと対応するべき疾患と考えます。

次回はもう少しPMSについて。
来週はお盆なのでお休みです。
根本産婦人科医院 院長 根本 将之

投稿者: 医療法人社団凌雲会

2023.08.04更新

これまで更年期障害についてこれまで様々お話しさせて頂きました。愛読して頂いている方もおいでのようで、外来でするどい質問が多くなってきてうれしい限りです。するどいというよりは切迫したご自身の悩みを具体的におっしゃって下さるので、こちらも対応しやすくなっており良い相乗効果かと。

今日は、「隠れ我慢」についてお話させて頂きます。
1昨年、コロナ禍真っただ中の2021年1月に、漢方で有名なツムラが20代~50代女性10000人!を対象に、「実は不調なのに我慢して家事や仕事を行う『隠れ我慢』」の大規模実態調査を行いました。調査の前段階からツムラの担当の方に、「今度、こういう調査をしますので結果を楽しみに」「そのような方はいらっしゃいますか?」と予告はされていたのですが、『隠れ我慢』?聞いたことねえなと、さしたる結果も出ないだろうと軽く考えていました。
そしたらなんと、
・女性の約8割が不調でも我慢して家事・仕事を行っている
・20代、30代の女性が我慢も疲労も多い
・我慢を続けたことで6割!が体調を悪化させている
ことが分かりました。
こういった不調を相談できているかというと、そもそも誰かに相談できてたという方は半数以下。特に医師に相談しているのはわずか6.6%でした。
感じても我慢するという不調の種類を見てみますと、
1位 疲れ・だるさ
2位 イライラ感
3位 不安感
4位 PMS(月経前症候群)
5位 不眠
・・・・と続きます。更年期障害のところでもお話しましたが、どれもこれも、「私たち医師が関われば、そこそこ治してやれるのになあ」と思う症状ばかりです。もし我慢しているなら、体調を崩す前に一度医療機関にご相談してみてはと思います。
ツムラのホームページには詳しく載ってますので、また隠れ我慢チェッカーなるのがありましたので、
隠れ我慢チェッカー|ツムラ (tsumura.co.jp)
でチェックしてみてもいいかもしれません。
ツムラのリンクつながらないみたいなので、こちらの方がいいかもです
https://www.tsumura.co.jp/onemorechoice/

梅雨も明けましたがまだまだ災害レベルの猛暑が続きますね。お身体ご自愛ください。
次回はPMSにつきお話させて頂きます。
根本産婦人科医院 院長 根本 将之

投稿者: 医療法人社団凌雲会

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