ドクターコラム

2023.11.10更新

過ごし易くなってきました。一気に冬に向かいそうです。このコラム、先週(11/3)は祭日でしたのでお休みでした。

前回、更年期中についてお話しましたが、今日は更年期後にご注意いただきたいこと。
市や職場の健康診断でコレステロールが急に上がり、びっくりして駆け込んでくるという方がしょっちゅういらっしゃいます。「若いころに比べて脂っぽい、美味しいものばかり食べてるわけではないのに何で?…」などとやや怒り気味で(笑)。ご存じの通りコレステロールが高いと動脈硬化が進み、脳卒中や心筋梗塞などになりやすくなるなどと言われているのでご心配はもっともです。実はこれ、更年期以降の女性の、ある意味宿命といえることです。と言いますのも、それまで潤沢に分泌されていた女性ホルモン(エストロゲンと言います)は、生理をうまく回したり、妊娠する条件を整えたりするだけではなく、実はコレステロールを分解するのに役立つ、つまり肝臓での特に悪玉コレステロールの代謝を促進する働きをしていたのです。つまり男性と比べて女性は、「若いころはエストロゲンに守られていた」と言っても過言ではありませんが、更年期以降、それまでコレステロールを分解してくれていたエストロゲンが少なくなるわけですから、当然コレステロールが分解されずに残ってしまう、つまり高コレステロール血症になりやすいということです。ですから、更年期以降はこれまで以上に食事に気を使い、適度な運動を心がけて頂くとともに、血液検査等定期的なチェックをお願いします。
次に骨粗鬆(こつそしょう)症。骨粗鬆症は、骨が軽石のようにスカスカになってしまい、骨がもろく折れやすくなる状態です。いったん骨折すると寝たきりになってしまうこともあります。骨も皮膚や髪と同じように新陳代謝を繰り返しています。古くなった骨は壊され、新しい骨が補われています。この古くなった骨を壊す細胞を破骨細胞といい、新しい骨をつくる細胞を骨芽細胞といいますが、この破骨細胞が骨を壊すスピードと、骨芽細胞が骨をつくるスピードの絶妙なバランスで骨量が安定し強さが保たれているのです。一方、エストロゲンには破骨細胞の働きを適度に抑制する働きがあります。つまりエストロゲンが少なくなると、骨を壊すスピードが抑制されず壊され過ぎてしまうため骨量が減ってスカスカになってしまうわけです。ですから更年期以降、骨に対しても骨を強くするための若いころ以上の食事の注意、適度な運動が必要であることは言うまでもありません。またこの骨の変化は痛みが出る、あるいは骨折するまで気がつかないことが多いですから、定期的な骨量測定などのチェックをお願いします。

今回は更年期以降ご注意いただきたい、特に高コレステロール血症と骨粗鬆症についてお話させて頂きました。次回は40才未満で閉経に至る早発閉経についてお話しましょう。
根本産婦人科医院 院長 根本 将之

投稿者: 医療法人社団凌雲会

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