ドクターコラム

2023.09.15更新

少し過ごしやすくなってきましたかね。

今日は月経前症候群(PMS:PreMenstrual Syndrome)治療のサプリについてお話させて頂きます。
サプリの話に入る前に、利尿薬(おしっこを出しやすくする薬)について。
PMSでみられる症状、月経前のむくみ、頭痛、乳房痛、お腹が張る、体重増加などはすべて不適切な水分貯留に関係しています。ですから尿をどんどん出してあげて水分を引いてあげればむくみなどが軽減しPMSに効果があるのではないかと考えられるわけで、実は利尿薬の中にはPMSの治療薬として認められているものがあります。しかし尿量の調整はとても微妙なので安易に利尿薬そのものを使うことはあまりありません。すこしややこしい話になります。9/1のこのコラムで「数多くあるピルの中で、黄体ホルモンの一種である『ドノスピレノン』含有のものがPMSに効果が期待できる」と述べましたが、このドロスピレノン、実は利尿薬であるスピロノラクトンの誘導体(体内で分解されてできるもの)なのです。さらに月経前の水分貯留と精神症状に関係ありとの報告もあり、利尿薬ひいてはドロスピレノンがPMSに効果がある理由と考えられています。いずれにしましても利尿作用のあるものがPMSに良いらしいということになります。そこで利尿作用のあるものとしてビタミンEが注目されています。ビタミンEには8種類ありますが、これまでのビタミンE製剤に入っていたのは主にα-トコフェロールというビタミンEでした。残念ながらこの8種類中で利尿作用の期待できるのは、αではなくγ(ガンマ)、つまりγ-トコフェロール、γ-トコトリエノールの二つ(合わせてγ-トコ複合体といいます)であることが分かっています。このγ-トコ複合体、7/26の更年期障害の治療としてこのコラムで紹介した豆腐などの原料となる大豆に含まれるイソフラボン製剤であるエクオールに含まれています。私は大塚製薬の回し者ではありませんが、このようにPMSにも効用があり、『エクエルプチ』(大塚製薬)は医院でしか手に入らないので当院で採用しているわけです。ピルはちょっと嫌だなという方にはお勧めしています。

今回もやや専門的な話になってしまい申し訳ありませんでした。分かりにくい点は外来で何でも説明しますから遠慮なく聞いて下さい。
根本産婦人科医院 院長 根本 将之

投稿者: 医療法人社団凌雲会

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