ドクターコラム

2023.08.11更新

前回、女性の「隠れ我慢」についてお話させて頂きました。今回はその中で触れた月経前症候群(PMS:PreMenstrual Syndrome)についてです。
PMSは、「月経前3~10日の間に続く心理的、身体的症状で、月経とともに減退、消失するものが、過去の生理で3回以上連続して起こっている場合」と定義されます。心理的な症状は、うつっぽい、怒りやすい、イライラ、不安、混乱した気分などです。身体的な症状は、体重増加、手足のむくみ、乳房・おなかの張り、頭痛・筋肉痛などです。これらの症状のうちどれか一つでもあれば月経前症候群と診断されます。ですから例えば「そう言えばここ半年くらい、生理が始まるとスッキリするが、生理前は1週間くらいむくんだり、お腹が痛かったり、気分が落ち込む」方はPMSです。
女性の95%は月経前に何らかの症状を経験しており、その66%がPMSであることが分かっています。そしてなんと63%もの方々が何も対処していないことが分かりました。くしくも前回の「隠れ我慢」と同じ結果になります。おそらく、生理前の不調は当たり前と思い込んでいる人が多く、受診せず我慢しているのでしょう。女性の皆さんは頑張り過ぎです。
女性の社会活躍、働くうえでも月経前の症状は様々な弊害になっています。PMS症状により退職を考えたことがある人が58%、55%の方が昇進の辞退を考えたそうです。また学業・競技にも支障を来しているデータも出ています。
このように、多くの女性が経験し、女性の活躍を阻害しているにも関わらず、多くのPMSは治療されていないというのが実態です。受診して治療を行えば改善するのですから、我々産婦人科医がきちんと対応するべき疾患と考えます。

次回はもう少しPMSについて。
来週はお盆なのでお休みです。
根本産婦人科医院 院長 根本 将之

投稿者: 医療法人社団凌雲会

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