ドクターコラム

2023.07.20更新

16才-26才のキャッチアップ世代の方

子宮頸がんワクチンを受けて下さい!!

むし暑い日が続きますね。こまめに水分を摂り、涼しい場所で過ごして下さい。

前回、若い女性にHPVワクチンをお受けいただきたいと熱弁させて頂きました。
HPV(ヒトパピローマウイルス)は性的接触のある女性であれば50%以上が生涯で一度は感染するとされている、言わばほとんどの大人が感染している一般的なウイルスです。性交渉によって感染するウイルスですが、特に性活動が活発な人に特有のウイルスというわけではなく誰でも当たり前に感染します。小6-高1のまだ小さなうちににワクチンをお受けいただきたいのは、Sexual Debut(性交渉開始)前、つまりHPVに暴露する前に将来の感染を食い止めたいからです。この年頃の娘さんをお持ちのお母さん、知り合いのいる方、是非勧めてあげて下さい。
一方で、それならもはやSexual Debutの可能性がありうる、いわゆるキャッチアップ世代(16才-26才)の方にはワクチンを打っても意味がないのではと、このコラム、ありがたいことに読んでいただいているようで、この1週間で多くの方にこのご質問を頂きました。確かに性経験があればHPVに感染している可能性はあります。ただ細かいことを言いますと、200種類程あると言われているHPVの中で、特に発がんに至りやすいHPVハイリスクタイプがHPV16/18/31/33/45/52/58型の7種類であり、Sexual Debut後であってもこの7種類全ての型のウイルスに感染している可能性は非常に少ないことが分かっているのです。例えばHPV16に感染してしまったとしても、残る6つの型のウイルスを予防できるわけで、ワクチン接種後に期待される子宮頸がん罹患率の低下をみても、確かに16才までの接種で88%低下することに比べると下がりはしますが、17~30才での接種でも53%も低下させることが出来ることが明らかになりました。ですからこの世代の方にも是非接種して頂きたいわけですが、前回お話した通り、この現在16才-26才のキャッチアップ世代の方に対する公費による接種制度では、来年2024年9月までに1回目を接種しなければ間に合わないのです。このコラムで前回、今回と急きょお知らせしたのもそのためです。
この世代の方は、もちろんあまり産婦人科には馴染みのない方でもあります。ワクチン接種は他科でも実施しているようですので、どちらでも構いませんなるべく早く受けて下さいね。ただこれほど重要なワクチンですが、婦人科以外の医師はそもそも子宮がんの患者さんを受け持ったことは無いでしょうし、以前の副反応の経緯からか接種する側もやはり婦人科以外の方は二の足を踏む傾向もあるようです。その際はがんばってこちらにお越し下さい。
副反応など何かあっても必ず対応します。この8年間で体制、ノウハウが確立してますので安心してお受け下さい。また何度相談に来ていただいて構いません。ご理解いただけるまで説明します。
繰り返しますが、定期接種世代、キャッチアップ世代の娘さんをお持ちのお母さん、知り合いのいる方、ぜひ勧めてあげて下さい。

おつき合いいただきありがとうございました。次回からはまた更年期に戻ろうと思います。
根本産婦人科医院 院長 根本 将之

投稿者: 医療法人社団凌雲会

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