ドクターコラム「妊娠中からのスマートフォンの賢い使い方〜意思をもって利用しよう〜」

じめじめしてきましたね。

今日は妊娠中のスマートフォンについてよくご質問頂くのでここでまとめて。ただ、もちろん私も専門ではないのでにわか仕込みです。

スマホは現代生活に欠かせないものであることは間違いありませんが、暇さえあれば、ましてや大事なことがあるのにずっとスマホに夢中というママ・パパもいるのではないでしょうか。
まずは電磁波の赤ちゃんへの影響について。法務省によれば電磁波防護指針という指針に基づいて、安全性を検証した基準値が定められておりその設定でスマホは作られているとのこと。つまりスマホ使用により生活で浴びる電磁波は微量であり、人体への影響、赤ちゃんへの影響は無しとされています。
その上で、まずは長時間の使用を避けるのが原則です。猫背で長時間スマホを見続けるなど止めてください。ただでさえお腹の大きな妊婦さんは長時間同じ姿勢でいると体に負担がかかります。適度な時間で区切りながら姿勢にも注意してください。背筋を伸ばし、適切な姿勢で使用してください。
次にスマホの画面はLEDというブルーライトを多く発生するディスプレイです。ブルーライトは目の疲労を招く原因となり、頭痛、肩こりにもつながっていきます。さらにブルーライトが睡眠を妨げることがあることも分かっています。夜間とくに就寝前にはスマホは使わず、快適な睡眠時間を確保しましょう。妊娠中は赤ちゃんのためにも健康を保ちたいものです。適切な知識を持ち、賢くスマートフォンを使いましょう。
ついでに新生児への影響についてもご心配の方が多いので触れておきます。機嫌が悪い時などに見せるとおとなしくなるという素晴らしいアプリがたくさんありますので、子育てで大変な時についつい頼ってしまうのも十分に理解できます。ですからその特性を理解して頂き賢く利用するというスタンスが大切かと。
まず、スマホの画面で音声つきの動画などを見続けていると、脳は動くものを実物と認識する特性がありますので、「スマホの画面上で展開される世界が現実の出来事だと脳が誤認する」ようになってしまいます。一応大人は現実世界をすでに知っているので大きな問題は生じないのですが(あやしい大人もいますが)、現実世界での経験が未熟な0~2歳の子への影響は計りしれません。
さらに機嫌が悪くなったときにいつもあやしてくれるのはスマホ、という習慣が定着すると、子どもはしだいにママやパパではなく、スマホと愛着形成を築いてしまいます。愛着形成とは特定の養育者との間に結ぶ心の絆で、子どもの心の発達の基礎となるものです。スマホやタブレットを見ていると機嫌がよくておとなしいため、ママやパパがあやしたりして子どもの心に寄り添う機会も減ってしまいます。0~2歳代の間に親子でしっかり愛着形成を築くことは、その後の子どもの心身の成長や親子関係に深く影響します。日々大変ですが、子どもが泣いたときには優しく言葉をかけたり抱っこしてあげたり、こうしたお子さんとのスキンシップを通して、子どもは自然とママやパパに信頼感を寄せて愛着形成を築きます。スマホに愛着を形成させてはいけません。
その他、山ほどあるのですが、この機会にスマホの使い方を考えて頂けたら幸いです。
今は小学校に入学すれば1人1台タブレットが配布されるなどしてICT教育が始まりスマホやタブレットに触れる機会はどんどん低年齢化しています。せめて心や体、脳の発達の基礎を築く2才までくらいは、スマホやタブレットなどからは遠ざけて頂ければと思います。

最後に、最近感じることですが、ネット上の情報だけを追い求め頼りにしてしまうばかりに、ご自分の考えや何をしたいのかが見えなくなるなってしまう方が多いなということです。ネットの情報がそのままご自身・お子さんに当てはまるなんてことはまずあり得ません。ご自身・お子さんに一番ふさわしい選択肢は何か、を考えていくことも大切かと思います。その際、我々プロに相談頂いても良いでしょう。自身の妊娠、子育てに加え、確かな臨床経験をふまえた助産師、看護師が相談に乗ってくれますよ。
根本産婦人科医院  院長 根本 将之

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