ドクターコラム「月経困難症とのつきあい。上級編/ピルに対しての先入観をなくそう」

冬本番の寒さも一休みといったところでしょうか。少し過ごし易い気候が続いてますね。
本日は低用量ピルの連続投与について。

これまでの「21日間内服後7日間休薬またはプラセボを内服して頂き、消退出血を起こしてからまた次のシートへ」という飲み方を周期投与といいますが、それに対して休薬期間を設けずにずっと飲んで頂く方法が連続投与です。連続的に内服するということは休薬期間が無いので、多くの方が消退出血(月経)が起きなくなります。月経が無いことで、月経痛や過多月経による貧血、PNSなど月経にまつわる不都合もなくなるとことが期待できるので、周期投与で改善が今一つだった方々からまずはお勧めしてきました。この連続投与については、何回かこのコラムで軽く触れては詳しくは又の機会にと後回しにしていましたが、「月経が毎月無くていいの?」というご心配も当然で、そういうお声がチラホラと聞こえてきまして遅まきながら今回ガッチリやりたいと思います。ガッチリと言いましても、結論は「現在すぐの妊娠を望んでいないのであれば、毎月の月経は必要ない」が医学的に正しい言い方になります。そもそも昔の日本人女性は平均約5回の妊娠出産を経験していました。妊娠期間中、授乳期間中は月経が無いので、その分現代の女性に比べ月経回数が少なく、さらに昔の女性は初経が遅く、閉経が早かったことを考慮しますと、昔の女性は現代女性に比べ300回も月経が少なかったという試算もあるほどです。それで昔の女性は何の問題もなかったわけですから、例えば連続投与で10年間月経が無いという期間を過ごしたとしても12×10=120回の月経が無いだけなのです。むしろ、現代の女性はあまりにも過剰な月経を経験させられているという言い方さえ出来ますので、当初は周期投与で効果が今一つの方に勧めてきました連続投与ですが、今後は主流になっていきます。
その他、確認ですが、低用量ピル連続投与中に月経が無いことで月経血や子宮内膜が子宮内にたまることはありません。低用量ピル連続投与の安全性や、血栓症リスクに、周期投与に比べ有意な差はありません。またピル服用中止後の月経再開、妊孕性の回復は周期投与と同じで、連続投与終了後94.7%が2カ月以内に月経再開または妊娠することが確認されています。

とりあえず、現在周期投与中の方で、消退出血前後に不快な症状(痛み、量、PMSなど)がある方は連続投与という選択肢がありますので是非ご相談下さい。
根本産婦人科医院 院長 根本 将之

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